新潟の酒
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新潟の酒新潟の銘酒をはぐくむ人・米・水・気候
新潟県は全国に知られた銘酒の産地,いわゆる「酒どころ」であります。酒どころと言われるくらいですから,酒蔵も多くあります。県内には,96の酒蔵があり,それぞれが個性のある酒を醸しています。新潟の酒の特徴は端的に表現すれば「淡麗な酒質」です。淡麗とは,柔らかで味わい深く,後味がきれいで残らない様子をさします。豊かな味わいと滑らかさ,のど越しの良さを兼ね備え,多くの人に愛される新潟の酒。気候条件,米の品質,水質,醸造技術などの酒造環境がそろったとき,初めて生まれる美味である。淡麗な酒質を理解するには,なぜ新潟が酒どころと言われるようになったかを,酒造りにかかわる「人・米・水・気候」といった事柄から考えてみました。

【米】
 まずは,酒の原料となる「米」。新潟はコシヒカリに代表されるように言わずと知れた全国に名だたる良質米の産地ですが,おいしい米作りはそのまま優れた酒米作りにつながっています。米の専門家は,たんぱく質の少ない米は食味が良いと指摘しますが,そのような米は,実は酒の品質にも良いのであります。米には「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」と呼ばれる酒造専用の品種があります。新潟では「五百万石」という酒造好適米が広く栽培されていますが,この米で造った酒は後味の軽い,非常にすっきりとしたものになります。ちなみに,「五百万石」も「コシヒカリ」と同様,新潟で開発された米であります。
 また,県酒造業界の期待を背負って2年前に本格デビューした酒造好適米があります。その名は「越淡麗」。県内の酒米に「山田錦」のような特性を持たせることを目指して1989(平成元)年,県作物研究センターと県醸造試験場などが「五百万石」を父系,「山田錦」を母系として交配を開始。15年を超える交配や選別を経て2004年,新品種として登録されました。昨年秋に収穫された越淡麗を使った県内の酒造会社は,75%に当たる72社に上がりました。

【水】
 次に,水。清酒の成分の80%以上を水が占めていることからも分かるように,水は清酒造りにおいて欠かすことのできない,酒の質を左右する重要なものです。水はもろみの発酵状態に大きく影響します。新潟清酒に用いられる水は,県境の山脈を源とし,カルシウムやマグネシウム鉱物質の少ない軟水です。軟水による酒造りでは,発酵を低温化でおだやかに進めるため時間がかかる半面,酒は酸味が軽く口当たりの柔らかい,まろやかな酒になります。また,酒蔵は酒造りのためにそれぞれの井戸やわき水などの水源を持っています。この水源においては水質が重視されるのはもちろんのこと,水量が豊富であることも重要となっています。

【気候】
 気候も醸造環境に適しています。冬の新潟の酒蔵は,日本海からの雪雲の下で雪に包まれ,晴天も少ない。厳冬期でも極端な低温にならないため,日中と夜間の温度差は比較的少ない。これが天然の冷蔵庫となり,おだやかな発酵に最適の低温条件をつくりだします。また雪は空気中のちりなどの微粒子を包み込むため空気を清浄化し,冬の湿気は埃のない清潔な環境を提供します。淡麗な清酒を造るために欠かせない「低温長期発酵」に適した環境は雪によって形成されています。

【人(技)】
 ここまで挙げたのは自然の恵みとも言えますが,これらを活かしておいしい酒を造るのは,人の技と精神です。新潟は「越後杜氏」と呼ばれる酒造技能者の出身地として全国的に有名です。越後杜氏は,我慢強く勤勉,寡黙,実直な性格でまがい物を嫌う一徹な越後人の気風と,優れた技術が評価されています。数百年におよぶ越後杜氏の伝統の中で培われ,伝承された越後流の酒造技術が,今の新潟清酒に生きています。

 また新潟の酒は,法律の規定に基づいて定められた「清酒の製法品質表示基準」による特定名称酒(吟醸酒・純米酒・本醸造)が総出荷量の62.3%を占めています。特定名称酒は,高級酒として原料や製造方法などに一定の条件が課せられ一般酒(普通酒)と区別されています。この特定名称酒出荷割合が全国平均の25.6%をはるかに上回っていることも新潟の清酒造りの特徴といえます。新潟県の成人一人当たりの年間清酒消費量は18.3?で,全国平均の7.0?を大きく上回って全国第1位です。新潟清酒が新潟の食文化に根付き,新潟人の酒への思い入れの深さが見てとれます。

 新潟の酒造りは,蔵の個性の中にも共通の方向性と説得力を持ちます。それが「淡麗」に象徴される新潟清酒の姿です。淡麗な酒を醸すには,今まで述べた条件-「米・水・気候・人」が四拍子揃わなければなりません。新潟が酒どころとなったのは,これらすべてを備えたからなのです。

【参考文献】
・「新にいがた地酒王国」(新潟日報事業社)
・「新潟清酒達人検定公式テキストブック」(新潟日報事業社)
・「新潟文化 第6号」(新潟日報)

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